QCとは?なぜ必要なの?初めての人でもわかる品質管理

品質管理(QC)という言葉を耳にしたことはありますか?QCとは「Quality Control」の略です。QCは製品やサービスの品質の維持・向上のために無くてはならない手法です。人手不足が嘆かれる昨今では、生産性向上の要となるQCの考え方はますます重要視されています。

  • 2025/05/22 公開

目次

  1. QC(品質管理)の基本とは
    1. QC(品質管理)の目的
    2. よくある質問:QCとQAの違い
    3. 品質管理の基本的な手法
    4. PDCAサイクル
    5. QC7つ道具
    6. 統計的品質管理(SQC)
  2. QCの歴史的背景と発展
    1. ■フレデリック・W・テイラーの「科学的管理法」
    2. ■ウォルター・シューハートの「統計的品質管理(SQC)」
    3. 日本におけるQCの進化
  3. 企業におけるQCの実践例
    1. 製造業でのQCの事例
    2. サービス業におけるQCの応用
  4. QCがもたらす経済効果と顧客満足度の向上
    1. QCの経済的利益
    2. 顧客満足度の向上とその重要性
  5. QCの重要性と将来の展望
    1. 設備点検DXサービス『WIZIoT(ウィジオ)』で、点検業務は「守りの点検」から「攻めの点検」へ


QC(品質管理)の基本とは

品質管理(QC)は、「Quality Control」の略で、製品やサービスの品質を一定の基準に保つためのプロセスです。QCの基本的な概念を理解し、品質管理がどのように役立つのかを、企業や組織においてどのように活用されるのかを知る手がかりを提供します。


◾️ QC(品質管理)の目的

品質管理の目的は、製品やサービスの品質を向上させ、顧客の満足度を高めることです。

具体的には・・・
  • 製品の欠陥を減少させる
  • 製造過程の効率を向上させる
  • 製品の不良品を減らす

⇒製品の不良品を減らすことで、無駄なコストを削減し、企業の利益を最大化することが可能に。

さらに、品質管理は単なる製品の改善にとどまらず、顧客との信頼関係を築くための礎となります。高品質な製品やサービスを提供することは、顧客の満足度を高めるだけでなく、企業のブランド価値を向上させ、長期的な顧客ロイヤルティを育むことにもつながります。
顧客が安心して製品を選び続けるためには、品質管理のプロセスを通じて、常に顧客の期待を上回る価値を提供し続けることが必要です。
これにより、企業は競争の激しい市場においても、持続的な成長を遂げることができるのです。そのため、品質管理(QC)は企業活動全体においても重要なのです!


◾️ よくある質問:QCとQAの違い

QC(品質管理)とQA(Quality Assurance:品質保証)は、製品やサービスの品質を確保するための重要なプロセスですが、その役割には明確な違いがあります。QCは主に製品の製造過程での欠陥を検出し、改善することに焦点を当てています。具体的には、検査やテストを通じて製品の品質を確認し、問題があれば修正を行います。

一方、QAは品質を保証するための全体的なシステムやプロセスの構築を担当します。QAは予防的なアプローチを取り、問題が発生する前にリスクを管理し、品質基準を維持するための手順を策定します。これにより、QAは長期的な品質の向上を目指し、顧客満足度を高める役割を果たします。


◾️ 品質管理の基本的な手法

品質管理にはさまざまな手法が存在し、目的や状況に応じて利用されますが、ここでは代表的な手法をいくつかご紹介いたします。

◾️ PDCAサイクル

PDCAサイクルとは、計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Action)の4つのステップを繰り返すことで、継続的な改善を図る方法です。PDCAサイクルは、品質管理の基本中の基本として、多くの企業で採用されています。


◾️ QC7つ道具

QC7つ道具とは、品質管理や問題解決のために用いられる基本的な手法の総称です。これらの道具は、製造業だけでなく、サービス業やその他の分野でも広く活用されています。具体的には、製造業やサービス業において、製品やサービスの品質向上を図る際に使用されることが多いです。例えば、製品の欠陥を分析し、原因を特定するために使われたり、プロセスの改善点を見つけるために活用されたりします。

QC7つ道具とは、パレート図、特性要因図、チェックシート、ヒストグラム、散布図、管理図、グラフの7つの手法です。これらを利用すると、データが視覚的に分析でき、問題の根本原因を特定するのに役立ちますね。


◾️ 統計的品質管理(SQC)

SQC(Statistical Quality Control)は、統計的手法を用いて製品やサービスの品質を管理し、製品のばらつきを減少させることを目的としています。

QC7つ道具が、視覚的にデータ整理・分析をし、プロセスの中で問題を特定し解決策につなげるのに対し、SQCは工程管理・品質改善の場面において、統計的に管理・改善を行うより高度なものです。統計的手法を活用することで、データに基づいた客観的な判断ができるため、効率的な品質管理が実現します。

これらの手法を適切に組み合わせることで、企業は品質の向上やコスト削減、顧客満足度向上が期待できます。



QCの歴史的背景と発展

品質管理の起源は、「大量生産」が始まった、19世紀後半~20世紀初頭の産業革命にまで遡ります。当時、製造業の効率を高めるために、製品の品質を一定に保つ必要がありました。


◾️ フレデリック・W・テイラーの「科学的管理法」

1980年代には、アメリカ合衆国でフレデリック・W・テイラーが「科学的管理法」を提唱し、作業の標準化と効率化を進めました。
現代のビジネスにおいて、避けては通れない「生産性」「効率化」の考え方は、テイラーが確立したものです。
今でこそ当たり前のマネジメントの概念「管理者が計画し、作業者が実行する」スタイルは、テイラーによって導入されたのです。


◾️ ウォルター・シューハートの「統計的品質管理(SQC)」

1920年代には、ウォルター・シューハートが統計的品質管理(SQC)の概念を提唱し、これがQCの基礎となりました。彼のアイデアは、製造プロセスにおける変動(※1)を管理し、品質の安定性を図るものでした。

※1
製造プロセスにおける変動を管理し、品質の安定性を図るとは、製品が常に一定の品質を保つように生産過程を監視し、必要に応じて調整を行うことを指します。
具体的には、製造過程で発生する可能性のある変動要因を特定し、それらが製品の品質に悪影響を及ぼさないように管理することで、最終的に消費者に提供される製品が常に高品質であることを保証することを目的としています。

第二次世界大戦中には、アメリカで品質管理が広く実践され、戦後には日本にもその手法が導入されました。1950年代に入ると、エドワーズ・デミングやジョセフ・ジュランといった品質管理の専門家が日本を訪れ、QCの概念を広めました。これにより、日本企業は品質向上に大きな進展を遂げ、世界的な競争力を得ることができました。


◾️ 日本におけるQCの進化

日本におけるQCの進化は、戦後の復興期に始まりました。デミング博士の指導により、多くの日本企業が統計的手法を用いた品質管理を導入しました。この時期、日本企業は品質を重視する文化を築き上げ、これが「メイド・イン・ジャパン」の信頼性を支える基盤となりました。

1960年代には、QCサークル活動が盛んになり、現場の従業員が自主的に品質改善活動を行うようになりました。この活動は、企業全体での品質向上を促進し、組織の一体感を高めました。1980年代には、TQM(総合的品質管理)という概念が登場し、企業全体の経営戦略として品質管理が位置づけられるようになりました。これにより、日本の品質管理はさらなる進化を遂げ、世界中で高く評価されるようになりました。

■デミング博士の指導(1950年代~1960年代)

統計学者のデミング博士(W・エドワーズ・デミング)は特に日本の製造業において大きな影響を与え、日本の経済成長を支える一因となりました。彼が提唱した品質管理の手法は、トヨタ自動車やソニーといった企業で採用され、品質向上と生産効率の改善に寄与しました。デミング博士は、統計的手法を用いて製品の品質を管理することを強調し、その結果、製品の信頼性が向上し、国際市場での競争力が高まりました。 デミング博士の影響は、今日に至るまで多くの企業の経営戦略に反映されています。



企業におけるQCの実践例


◾️ 製造業でのQCの事例

▼トヨタ生産方式(TIPS)(トヨタ自動車株式会社)
製造業におけるQC(品質管理)の実践例として、トヨタ自動車の取り組みが挙げられます。
トヨタは「トヨタ生産方式(TPS)」を通じて、徹底した品質管理を行っています。
この方式は、ジャストインタイム(必要なものを必要な時に生産する)や自働化(自動化と人間の判断を組み合わせた効率的な生産プロセス)といった概念を基に、無駄を排除し、効率的な生産を目指しています。部品の在庫を最小限に抑え、必要な時に必要な量だけを供給することで、過剰在庫によるコストを削減すると同時に生産ラインの柔軟性を高めています。
トヨタのQC活動は、製品の品質向上だけでなく、生産効率やコスト削減にも大きく寄与しています。

▼カイゼン(トヨタ自動車株式会社)
また、トヨタは「カイゼン(改善)」と呼ばれる継続的改善活動を通じて、社員一人ひとりが品質向上に貢献できる環境を整えています。
具体的には、社員が自らの業務プロセスを見直し、改善提案を行うことが奨励され、その提案が迅速に実行される仕組みが整っています。
これにより、現場での問題点を早期に発見し、解決策をすぐに実施することが可能になります。トヨタのQCは、単なる品質管理を超えて、企業全体の競争力を高める重要な役割を果たしています。このような取り組みにより、トヨタは常に高品質な製品を提供し続け、国際市場での競争力を維持しています。


◾️ サービス業におけるQCの応用

▼顧客満足度の向上の取り組み(株式会社ファーストリテイリング)
サービス業におけるQCの応用例として、ファーストリテイリングが運営するユニクロが挙げられます。ユニクロは、顧客満足度を高めるために、商品品質の管理だけでなく、店舗運営や接客サービスの品質管理にも力を入れています。具体的には、店舗スタッフの教育やトレーニングを通じて、接客の質を向上させる取り組みを行っています。
さらに、ユニクロは顧客からのフィードバックを積極的に収集し、商品開発やサービス改善に反映させています。これにより、顧客のニーズに迅速に応えることができ、信頼性の高いブランドイメージを築いています。ユニクロのQC活動は、サービスの質を高めるだけでなく、顧客との長期的な関係構築にも貢献しています。



QCがもたらす経済効果と顧客満足度の向上

品質管理(QC)は、企業にとって経済的な利益をもたらすだけでなく、顧客満足度の向上にも大きく寄与します。ここでは、QCの導入によって企業がどのようにして収益を増やし、顧客との信頼関係を築くことができるのかを詳しく解説します。


◾️ QCの経済的利益

QCは企業に直接的な経済的利益をもたらします。まず、品質管理を徹底することで、不良品の発生を抑え、製造コストを削減することが可能です。
不良品の発生が減ることにより、廃棄や再製造のコストが削減され、結果として利益率が向上します。
また、QCのプロセスにより、効率的な生産ラインが構築され、作業時間の短縮が実現するため、労働コストの削減や生産性の向上が期待できます。

さらに、QCを通じて製品の信頼性が向上すると、顧客からのリピート購入が増加します。顧客の信頼を得ることで、ブランド価値が高まり、新規顧客の獲得にもつながります。
QCの導入は、単なるコスト削減策ではなく、持続的な成長を支える重要な戦略となります。


◾️ 顧客満足度の向上とその重要性

QCを通じて製品やサービスの品質を高めることで、顧客の期待を超える価値を提供することができます。顧客が満足することで、企業に対する信頼と愛着(ブランドのロイヤルティ)が向上します。
ロイヤリティの高い顧客は、リピーターとなり、口コミやレビューを通じて他の潜在顧客に良い影響を与え、自然な形でのマーケティング効果を生み出します。
また、顧客満足度の向上は、クレームや返品の減少にもつなるため、アフターサービスにかかるコストが削減され、企業の運営効率が向上します。

顧客の声をフィードバックとして受け取り、製品やサービスの改善に活用することで、さらに満足度を高めることができ、顧客との良好な関係を築くことができ、ひいては企業の持続的な成長に繋がります。



QCの重要性と将来の展望

現代において品質管理(QC)は、単に不良品を減らしたり効率化を進めたりするだけにはとどまらず、製品の価値を最大化し、企業の成長につながる戦略的な取り組みであることが分かりました。

QCはさらに進化し、デジタル技術と結びつくことで新たな可能性を開拓しています。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)を活用した品質管理は、リアルタイムでのデータ収集と分析を可能にし、迅速な意思決定を支援します。
このような技術の進化も、品質管理の精度を高めるだけでなく、コスト削減や生産性向上等の企業の成長に寄与します。


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この記事の筆者 設備点検DXサービス『WIZIoT(ウィジオ)』
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