
MTBF(平均故障間隔)の向上は、機器の信頼性を高め、ダウンタイムを最小限に抑えるための重要な要素です。本記事では、MTBFの定義や計算方法についてわかりやすく解説するとともに、信頼性向上に効果的な予防保全の考え方について詳しく紹介します。
2025/09/11 公開
MTBFとは?定義や基礎知識をわかりやすく解説
MTBF(Mean Time Between Failures/平均故障間隔)は、機器やシステムの信頼性を評価するうえで欠かせない指標であり、故障までの平均稼働時間を表します。
多くの企業がMTBFを重視する背景には、故障の発生頻度を低減することで、生産効率の向上や保守コストの削減に繋がるという明確なメリットがあります。
ここでは、MTBFの定義や重要性についてわかりやすく解説し、信頼性向上に向けた具体的な改善方法をご紹介します。
MTBFの定義と重要性
MTBFは、設備やシステムが正常に稼働している期間を示す重要な指標です。
設備管理において、MTBFの理解は不可欠であり、これを向上させることで予期せぬダウンタイムを減らし、生産効率や稼働率の大幅な改善が期待できます。
MTBFが長いほど、設備やシステムの信頼性は高く、安定した稼働状態にあると言えます。
近年では、点検業務のDX化が進み、異常の兆候を早期に発見し、予知保全を実現することが可能になりました。こうした取り組みは、結果としてMTBFの延伸につながり、設備の信頼性に寄与します。
設備点検をアナログ管理からデジタル管理へ移行することは、設備の安定稼働への第一歩と言えるでしょう。
MTBFとFITの違いと使い分け
MTBFとFIT(Failure In Time)は、いずれも故障に関連する指標ですが、それぞれ異なる目的で使用されます。
MTBF:
設備やシステムが故障せずに稼働できる平均時間(平均故障間隔)を示す指標で、主に機械設備やシステム全体の信頼性評価に用いられます。
FIT:
一定時間あたりに発生する故障件数を表す指標で、特に電子部品や半導体の信頼性評価において広く活用されています。
MTBF・MTTR・稼働率の違いと関連性
MTBF、MTTR(Mean Time To Repair)、および稼働率は、設備やシステムの信頼性を評価するうえで欠かせない指標です。
それぞれの役割を整理すると、以下のようになります。
・MTBF(平均故障間隔):故障と故障の間にシステムが正常に稼働する平均時間
・MTTR(平均修理時間):故障が発生してから復旧するまでの平均時間
・稼働率:システムや設備が「どれくらいの時間、止まらずに動いていたか」を表す割合
これらの指標は互いに関連しています。
MTBFが長く、MTTRが短いほど、設備やシステムの稼働率は高まり、結果として信頼性の向上と生産性の改善につながります。
さらに、近年注目されている「点検DX」(点検データのデジタル化)を活用することで、設備の異常兆候を早期に発見し、予防保全へとつなげることが可能になります。これにより、修理時間(MTTR)の短縮が期待でき、故障の未然防止にも貢献します。
その結果、MTBFの延伸とMTTRの短縮の両立が実現し、稼働率の大幅な改善に寄与することができます。点検業務のデジタル化は、設備の安定稼働と信頼性向上に向けた有効なアプローチと言えるでしょう。
MTBF・MTTR・稼働率の求め方と計算方法(初心者向け)
先ほどの章では設備やシステムの信頼性を測る重要な3つの指標、「MTBF(平均故障間隔)・MTTR(平均修理期間)・稼働率」について概要をご紹介しました。ここでは、MTBF・MTTR・稼働率の基本的な求め方や計算方法を初心者向けに解説します。
MTBFの基本的な計算ステップ
MTBFを算出するためには、まず「システム全体の稼働時間」と「その期間に発生した故障回数」を把握する必要があります。
▼MTBFの計算式:
MTBF = 総稼働時間 ÷ 総故障回数
MTBFを算出することで、設備やシステムの信頼性を定量的に評価することが可能となり、故障率の低減に向けた改善活動の基礎データとしても活用できます。
MTBFと故障率の関係と計算方法
MTBFと故障率は密接に関連しています。
・故障率:一定時間あたり「どれぐらい故障が発生するか」を示す割合
▼故障率の計算式:
故障率 = 1 ÷ MTBF
一般的に、MTBFが長いほど故障率は低くなり、逆にMTBFが短いほど故障率は高くなるという関係があります。MTBF・MTTR・稼働率の覚え方と計算例
設備管理においては、MTBF(平均故障間隔)、MTTR(平均修復時間)、稼働率が3つの基本指標としてよく使われます。MTBFは故障間の時間、MTTRは修復にかかる時間を示し、稼働率は稼働時間の割合を示します。(詳細はこちら)
イメージしやすく言えば、
MTBF : どれくらい長く動いていたか
MTTR : どれくらい早く直せたか
稼働率 : その結果、どれくらい止まらずに働いていたか
▼計算式
稼働率 = MTBF ÷ ( MTBF + MTTR )
たとえば、ある設備のMTBFが100時間、MTTRが10時間だった場合、
稼働率は約90%。つまり100時間動いて10時間止まるペースで運用されているイメージです。
MTBFを延ばし、MTTRを短くすることで稼働率はさらに高まり、設備の安定稼働や生産効率の向上につながります。
MTBF向上に役立つ予防保全と点検DX
MTBF(平均故障間隔)を向上させるためには、予防保全と点検業務のDX化が不可欠です。
単に故障が起きてから対応する「事後保全」ではなく、予防保全と点検業務のDX化が欠かせません。
予防保全がMTBFに与える効果とは
予防保全は、機器の故障を未然に防ぐために実施する、計画的な点検やメンテナンスのことです。しかし、単に定期的な点検を行うだけでは十分とは言えません。状態監視とデータの蓄積を組み合わせることで、より効果的な予防保全が可能になります。
・状態監視 :
温度、振動、電流値などの機器状態を常時モニタリングし、異常の兆候を早期に発見する
・データ蓄積 :
点検結果や異常履歴をデジタルで記録し、故障パターンや劣化傾向を分析することで、的確な保全判断が可能になる
これにより、「壊れる前に手を打つ」、予防保全体制の強化が実現し、MTBFを延ばすことができます。
紙やエクセル等のアナログ管理では見落としがちな細かな傾向も、デジタルデータの活用により高精度な傾向分析が可能となり、保全の質をさらに高めることができます。

点検DXによるMTBF改善の具体事例
点検業務をDX化することで、MTBFの改善に大きく貢献します。
たとえば、スマホや固定カメラを活用したメーター読み取りでは、
・作業時間を50%短縮
・点検ミスの大幅削減
・異常傾向を早期に把握が可能
といった効果が報告されています。
結果として、故障前の兆候を逃さず対応できるようになり、設備の稼働率が高まりました。
さらに『WIZIoT(ウィジオ)』のような設備点検DXサービスを利用すれば
・点検データのデジタル記録・一元管理
・蓄積データによる傾向分析や予防保全
・遠隔監視による巡回点検の効率化
が可能です。MTBFの改善に向けた具体的なアクションが取りやすくなり、効率的な保全体制の構築が実現します!
MTBFとMTTRを活用して、生産停止リスクを最小限に抑えるには
MTBFとMTTRは、生産設備の信頼性を評価するうえで欠かせない重要な指標でです。
これらの指標に基づいて改善を図ることで、生産停止のリスクを最小限に抑え、設備の安定稼働を実現することが可能になります。
・MTBFの向上 ⇒ 故障率の低減につながり、生産ラインの安定性を高める
・MTTRの短縮 ⇒ 故障発生時のダウンタイムを短縮、生産効率を維持に貢献する
MTBFとMTTRの両面からアプローチすることで、設備の信頼性を総合的に高めることができ、安定した生産体制の構築につながります。
点検DX(点検データのデジタル化)がもたらす効果
点検業務をDX化は、MTBFの向上に大きく貢献します。
たとえば、『WIZIoT(ウィジオ)』のようなツールを活用することで、スマホや固定カメラを用いて、メーターを自動で読み取り、異常を即時にデジタル記録することが可能になります。
これにより、
・点検作業時間の大幅な短縮
・異常傾向の早期発見
・データによる傾向分析
が可能になり、予防保全体制の強化につながり、MTBFの改善につながります。
改善活動を始める際には、まず無料で始められるツールから試してみるのも一つの方法です。
『WIZIoT』では2週間の無料トライアルも提供されており、実際の現場で手軽に試すことができます。
今回のコラムはここまでです。MTBFとMTTRは理解できましたでしょうか?
MTBFやMTTRを正しく理解・活用し、点検のデジタル化と組み合わせることで、生産停止リスクを抑え、生産体制の強化を図れます。
WIZIoTは1メーターの読取りから利用できます!
今すぐ現場で試せる方法から、予防保全体制を強化しませんか?