
生産性向上は、企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現するための重要な要素です。生産性向上には、コスト削減や品質向上だけではなく、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンスの創出につながります。本コラムでは、生産性向上を実現するための具体的なステップと、そのメリットについて詳しく解説します。
2025/02/17 公開
目次
生産性向上とは?業務効率化との違い
生産性向上 | 業務効率化 |
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限られたリソースで最大の成果を得ること | 成果を得るためのリソースを最小限に抑えること |
生産性向上とは、限られたリソースを最大限に活用し、より多くの成果を生み出すことを指します。製造現場においては、作業の効率化や無駄の削減を通じて、製品の品質や生産量を向上させることが求められます。一方、業務効率化は、作業プロセスを見直し、時間やコストを削減することを目的としています。
生産性向上と業務効率化は似ているようで異なり、生産性向上は成果の最大化を目指すのに対し、業務効率化はプロセスの最適化に焦点を当てています。
◾️ 生産性向上が求められる背景
組織全体で生産性向上が求められる背景には、競争の激化や市場の変化のスピードが速くなってきていることが挙げられます。
組織全体での生産性向上は、従業員の働きやすさを向上させ、持続可能な成長を支える基盤となります。
特に製造業では、顧客ニーズの多様化や技術革新が進む中で、効率的な生産体制を構築することが求められています。
また、個人の生産性を向上させることで、全体の生産性も向上し、結果として組織全体のパフォーマンスが向上します。
業務の質を高めることで、時間を有効に活用することができるため、個人の自己成長やキャリアアップの機会が増え、モチベーションの向上にもつながります。
生産性向上がもたらす効果の具体例

ここでは、「第1回 生産性向上国民運動推進協議会(2017)」で報告された、小売業(スーパーマーケット)での生産性向上の成功事例をご紹介します。
参考:「第1回 生産性向上国民運動推進協議会|内閣府(2017)」より、「【小売業】 スーパーマーケットの 生産性向上活動報告」
◾️ まずは業務効率化を図り、ムダを削減!
あるスーパーマーケットでは、バックヤードでの「商品(モノ)の流れ」や「情報の流れ」を整理・改善することで、スペースのムダや商品(モノ)を探すムダを削減し、作業効率を向上させ、生産性向上のための基盤を整えました。この業務効率化の取り組みにより、年間150時間の労働時間が削減され、15万円のコスト削減を実現させました。
◾️ 「従業員1人当たり」の作業時間を短縮、作業の標準化で生産性向上!
あるスーパーマーケットでは、「商品(モノ)の流れ」や「情報の流れ」を整理し、業務効率化を図りました。次に、「人の導線」を整理し工夫することで、従業員1人の作業で発生するムダな動きを削ることができました。
(具体例)「キャベツ1個を半分にカットし、ラップ掛けを行う作業」について
従来、キャベツをまとめてカットし、最後にまとめてラップ掛けを行っていたところ、キャベツの仮置きスペースや取り置き動作のムダを削減することに着目し、キャベツを1個ずつ半分にカットしてラップ掛けを行うように、ムダなく流れるような作業手順になるように変更しました。また導線を遮らない位置に屑入れの配置を見直しました。
これにより、1個あたりの作業時間が以前よりも8秒短縮され、生産性が22%向上しました。
また総菜の調理に置いても、同様に作業のムダを見つけ効率化し、最も成果を得られる方法を共有するとともに、標準化することで(ベストプラクティスの標準化)、生産性が向上し、欠品や作り過ぎを減らし売り上げ増加に寄与しました。
◾️ 顧客満足度の向上
生産性向上は、顧客満足度の向上にも直結します。
効率的な業務プロセスにより、顧客へのサービス提供が迅速化され、顧客の期待に応えることが可能になります。
例えば、上記のスーパーマーケットの例で考えてみると、標準化された作業手順により、総菜の欠品や作り過ぎを減らすことができるので、顧客を待たせず、できたての総菜を提供できるようになりますね。顧客の信頼を獲得し、顧客との長期的な関係構築をするためにも、生産性向上は大切なのです。
生産性向上を実現するための効果的なステップ

生産性向上のためには大きく3つのステップがあります。
ここでは、3つのステップの内容とポイントを簡単にお伝えします。
◾️ ステップ1.現状把握をし、課題を見つける
現状把握は、以下の手法で行います。
- 作業工程とタスクの洗い出し
- 作業時間の記録
- 業務フローの明確化
作業の担当者と役割や、作業の流れ等、作業にまつわる人・モノ・情報の流れを明確にすることがポイントです。図式化して全員で流れを確認すると良いでしょう。
課題発見は、以下の手法で行います。
- データ分析
- 課題の特定
- フィードバックの収集
現状把握で収集されたデータと明らかになった作業フローをもとに、最も時間のかかる工程と価値を生み出す工程を明らかにします。
作業を切り出して見ていくと、時間のムダが発生している部分や効率の低い部分が見えてくるでしょう。また、各担当者から作業のしやすさや生産性についてフィードバックをもらうことも有効です。
◾️ ステップ2.行動プランを立案する
行動プランの立案は、以下の手法で行います。
- 目標設定
- 目標達成のためのアクションプランを作成
- 計画・リソースの確保
課題が明らかとなれば、あるべき姿も描きやすいでしょう。具体的で達成可能な目標を設定することがポイントです。
アクションプランは、目標達成するためにどうすれば良いかを逆算してタスクとして細分化していきます。
アクションプランを実施するためには、綿密な計画が必要です。リソースの確保もきっちり行い準備しましょう。
◾️ ステップ3.行動プランを実施し、振り返りを行う
- 進捗管理・報告
- モチベーション維持
- 実施後のデータ分析
- フィードバックの収集
生産性向上のサイクルを続け、組織に根付かせることが大切です。進捗管理や報告は現場の組織全体に対してこまめに行うのが良いでしょう。
また、作業を実施する人の協力の上で、生産性向上のための活動は行われますから、モチベーション維持は大切です。モチベーションを保つためのヒントは以下の章をご覧ください。
アクションプラン実施後は、定量的な評価(データを収集し評価すること)と定性的な評価(担当者それぞれのフィードバック)をもとに振り返りをすることが重要です。
生産性向上を妨げる要因とその対策

製造現場において生産性向上を実現するためには、まずその妨げとなる要因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。生産性低下の原因は多岐にわたり、個人の能力やモチベーションの問題から、組織全体の構造的な課題まで様々です。
これらの要因を理解し、効果的な対策を講じることで、持続的な生産性向上を実現することが可能です。
◾️ よくある生産性低下の原因
よく挙げられる原因をまとめると、以下になります。
- 業務プロセスの複雑化による業務の非効率性
- コミュニケーション不足
- 役割を決めていないこと、役割への理解不足
生産性低下の原因としてよく挙げられるのは、「業務の非効率性」や「コミュニケーション不足」です。特に、業務プロセスが複雑化し、情報の流れが滞ることで、作業のムダが生じ、業務の非効率性が上がります。また、個々の従業員が自分の役割を十分に理解していない場合や、適切な指導が行われていない場合も、生産性の低下を招く要因となります。
◾️ 個人の生産性を向上させるためのポイント
それは、自己管理能力を高めるです。
具体的には、時間管理のスキルを向上させることや、目標設定を明確にすることが挙げられます。また、定期的なフィードバックを受けることで、自分の強みと弱みを把握し、改善に努めることが求められます。生産性を高めるためには、個人が自身の役割を理解し、主体的に活動してもらう必要があります。
そのために管理者は、従業員のストレス管理や健康維持等、従業員の状態の把握やフォローを欠かさず行い、従業員を守ることが大切です。
◾️ 組織の生産性を向上させるためのポイント
組織全体の生産性を向上させるためには、まず業務プロセスの可視化と標準化が必要です。まずは、業務の流れをスムーズにし、ムダを削減することから始めましょう。また、デジタル技術を活用した業務の自動化や、データに基づく意思決定の促進も効果的です。
さらに、組織内のコミュニケーション不足は生産性低下を招きます。コミュニケーションを活性化し、チームワークを強化することで、個々の従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが重要です。
生産性向上を持続させるためのヒント
ここでは、生産性向上のためのモチベーションの維持、成果を最大化するためのツール、そしてチームワークとコミュニケーションの重要性について詳しく解説します。
◾️ モチベーションを保つためのテクニック
モチベーションを保つためには、目標設定と達成感の共有が重要です。具体的には、短期的な目標を設定し、達成した際にはチーム全体で成果を共有することで、次の目標に向けた意欲を高めることができます。
また、個々の役割を明確にし、自己成長を促す環境を整えることも効果的です。
◾️ 成果を最大化するためのツールと技術
成果を最大化するためには、適切なツールと技術の導入も有効です。
例えば、デジタルツールを活用することで、業務プロセスの効率化やデータ分析が可能となり、迅速な意思決定が行えます。
経済産業省の「ものづくり白書」によると、デジタル技術の活用が製造業の競争力を高めるとされています。また、中小企業庁の「中小企業白書」では、DXの推進が企業価値の向上に寄与することが示されています。これらのツールを活用することで、業務の効率化だけでなく、新たなビジネスチャンスの創出も期待できます。
参考:「製造基盤白書(ものづくり白書) (METI/経済産業省)」
◾️ チームワークとコミュニケーションの重要性

チームワークとコミュニケーションは、生産性向上において欠かせない要素です。特に製造現場では、各メンバーが連携して作業を進めることが求められます。円滑なコミュニケーションを図るためには、定期的なミーティングや情報共有の場を設けることが効果的です。また、デジタルツールを活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能となり、チーム全体の効率を高めることができます。各メンバーが自分の役割を理解し、協力して目標達成に向けて取り組むことが何よりも重要です。
生産性向上により得られる未来とまとめ
生産性向上は、製造現場をはじめとした、企業における効率化と品質向上をもたらし、企業全体の競争力を高める重要な要素です。加えて生産性向上は顧客満足度の向上にもつながることが分かりました。
また、業務プロセスの最適化のために、デジタル技術の活用は重要です。
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設備点検DXの『WIZIoT(ウィジオ)』では、スマホをかざすだけで、メーター等の計器の読み取り・記録を自動で行うことができます。
貴社では点検業務はどのようにされていますか?『WIZIoT(ウィジオ)』では点検業務における、目視点検や紙へ記録する点検者の業務プロセスや、記録された結果を承認・集計したりする際の管理者の業務プロセスを効率化することができます。
まずは、日々発生する点検業務の効率化を行い、生産性向上を図ることで、従業員の働きがいを高め、職場環境の改善を行いませんか?
効率的な業務プロセスは、従業員の負担を軽減し、創造的な活動に時間を割くことを可能にするため、企業は新たな価値を創出し続けることができ、長期的な視点での成長を支えることができます。
生産性向上を通じて得られる未来は、企業と従業員の双方にとって、より豊かで持続可能なものとなるでしょう。